地域店として発展のための「長期戦略」の策定を‥

第Ⅳ章 繁栄のピラミッドの構築⑤
《「長期戦略」の策定》

「繁栄のピラミッド」の基礎(土台)になるのが「経営理念」(ポリシー)と「長期戦略」(ビジョン)です。それを推進し、達成するためには長期的な視点での方向性(=「長期戦略」)の検討が必要です。この「長期戦略」がピラミッドの(下から二段目)になります。「長期戦略」策定は長期にわたっての事業・経営の方針(方向性)をまとめる作業ですから、時代の大きな流れと(自社の)経営環境の変化をも確認することが必要です。

例えば‥
・人口減少社会の中で高齢者・高齢世帯の数・構成比はさらに高くなる(超高齢化社会)
・その高齢者のニーズは多様で小売業ではその対応が求められる
・高齢者でもデジタル機器(パソコンやスマホ)を日常的に活用するようになる
・家電機器も個別にはスマート化が進み、また家庭内での機器のネットワーク化が進む
・(家電品のみでは)伸長率が低下する家電量販店では他業界商品を取込む
・同時に家電品を核とした業態化を進める、また家電品以外での出店が進む
・Web販売業者のシェアが高まり、家電流通の一翼を担うようになる
・後継者難から地域店数は減少を続け、地区によっては量販店が店舗の撤収も‥

同じ家電販売店でも量販店と地域店の特性は大きく(まったく)異なります。地域店の特性は顧客訪問型、そして顧客密着のサービス提供型の業態です。そして客層は(常に若返り化をはかる努力は続けつつも)高齢者が中心になることは今後も変わらないでしょう。地域店は高齢者から支持が得られる業態として有利なポジションを確保できます。

とはいえその高齢者、以前の高齢者とは大きく変化しています。例えば乗り物では「優先席」に腰掛け「左手にはスマホを持ち、右手でネットスーパーで買物を」といった高齢者が増加します。「若い人は情報をスマホで」「高齢者はテレビや新聞で」と言い切れない時代はすぐそこに来ています。「買物弱者」「買物難民」問題もパソコン、スマホの活用である程度解決するかもしれません。Web販売業者が減少する地域店の空白(穴)を埋める可能性も高まります。

また高齢者の交通事故の多発が問題になっていますが、同時に自動車は自動運転の時代が到来します。高齢者は目的地まで自動運転、そして苦手な駐車場入れも車任せで‥。近い将来「買物弱者」「買物難民」も質的に変化するかもしれません。

とはいえ商品の機能・性能は高度化(スマート化)し、また家庭内の家電品のネットワーク化も進みます。「プロのアドバイス」が必要な商品が増加します。

時代は複雑化しつつも大きく変化します。長期戦略では時代の流れ・変化に着目することが大切です。

(次回へ続く)