経営者としての使命感を「経営理念」で表わす

第Ⅳ章 繁栄のピラミッドの構築③
《「経営理念」と「長期構想」の策定》

「経営理念」(ポリシー)は事業・経営に対しての基本的な価値観、使命感を成文化したものです(前回)。地域店(地域家電店)の「経営理念」は「顧客志向」に加えて「地域志向」さらには「従業者(社員)志向」であることが求められます。ただ家族が食っていくための商売、金儲けだけの商売なら顧客(お客様)や社員(の心)は離れていきます。事業を継承(承継)したらすぐに「経営理念」の策定に着手しますが、難しく考える必要はありません。自分が経営者として今後どのような気持ちで会社経営を行っていくか、を判りやすい文章や言葉で表現することです。

すでに創業者あるいは前経営者が策定した「経営理念」がある場合でも、その内容と表現が判りやすいか、後継者自身の考え方にマッチしているか、を検証します。

お客様を原点に平和を訴求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。
これは日本を代表する、国内の流通業では売上高トップのイオンが掲げる「経営理念」です。実にシンプルで判りやすい文章で表現されています。規模こそ異なりますが、地域店(地域家電店)にも共通する考え方といえます。
またイオンに次ぐ流通業2位のセブン&アイグループはその「企業行動指針」の冒頭に「経営理念」を「社是」として次のように示しています。
私たちは、お客様に信頼される、誠実な企業でありたい。
私たちは、取引先、株主、地域社会に信頼される、誠実な企業でありたい。
私たちは、社員に信頼される、誠実な企業でありたい。
この企業グループが掲げている使命感は「信頼される誠実な企業でありたい」ということです。「信頼される」対象として「お客様」と「取引先、株主、地域社会」、そして「社員」を掲げています。ここでも地域店にも共通する使命感が表現されています。
いずれも2社のHP(ホームページ)に掲載され、会社の意思として会社の内外に表明されています(上記はHPから転載)。流通業としてどのような姿勢で事業・経営に取組むかを理解することができます。
「経営理念」が策定できたらお客様にも見えるように額に入れて掲げ、またHPにも掲載します。この「経営理念」を行動レベルに落とし込んだのが「行動基準」です。図Ⅳ-3は地域店の「経営理念」と「行動基準」の例です。
(図Ⅳ-3 地域店の「経営理念」と「行動基準」の例)
(次回続く)