2025年6月の重点活動 物価高の中での夏商戦を戦う
(上場)家電量販店の3月期の決算内容が公表されています。一部、減収減益の会社もありますが、概ね良好な数値が示されています。全量販店が大幅な増収増益とはいえないものの、中には10%以上の増収の会社もありました。とはいえ「シェアは上限に近づいている」「通販専業に足元をすくわれている」ともいわれている中で数値のみから判断する好業績といえます。
一方、地域家電店の店主からは「(家電品に関しては)売上げは決していいとはいえない」「正直なところ売上低下に悩んでいる」といった声が多く聞かれます。また開催会場数が減っている夏の合展も「来場客数、来場率とも低下」「売上高も苦戦」という会場が多かったようです。
夏商戦に突入した量販店のエアコン、冷蔵庫売り場はフル陳列、土・日曜日は下見客、購入予定客を相手に社員の説明も熱を帯びてきています。傍で対話内容に耳を傾けていると推奨ポイントは物価高を反映して「電気代が大幅に低下!!」といったランニングコスト訴求が目立ち、さらに「昨年度の機種がお勧め。同じ冷房・暖房能力で、値段は大幅に…」と続き、「昨年度の機種は間もなく終わりです」がクロージング話法になっています。よく聞いていると矛盾する部分はありますが、来店客は納得して契約テーブルに向っている姿が見られます。
◆地域家電店客のエアコン需要は低下
この欄でもたびたび指摘しているように、高齢者が多い地域家電店は顧客数の自然減が続いています。これが(量販店に比較すると)業績不振の最大の要因といえます。また自然減の前、お子様の独立で高齢者ご夫婦のみ、高齢単身者のみの世帯が増え、それら世帯の空き部屋も増加しています。この空き部屋のエアコンは買替え年数が大幅に伸び、世帯当たりエアコン購入台数は減少しています。地域家電客で発生するエアコン需要は縮小しているのです。
エアコン以外の4大商品うちの冷蔵庫、洗濯機の白物2商品のうち冷蔵庫は不振、そしてテレビは辛うじて前年並みというのが昨今の出荷動向です。好調なのはエアコンのみで、そのエアコンが売れなければ夏商戦は完敗になります。
◆お金持ちとはいえ物価高に…
前掲のように量販店は「昨年の機種」を武器に商談を進めています。また代表的な通販会社も同じよう販促戦略を展開中です。「昨年の機種」の在庫保有状況は不明で、いつまでも同じ訴求はできないのは事実ですが、いま、消費者の多くが考えているのは物価高の中での生活防衛です。「地域家電店のお客様は金持ち」とはいえ、収入の範囲内で支出を抑えたいのは、他の高齢者と同じです。
この節約志向の風潮を軽視すると、低下しているエアコン需要も量販店、通販店に奪われることになります。
◆6月に夏商戦のヤマを創り出す!!
「せっかく口約束したエアコンがドタン場で息子さんの反対で…」、このような経験はどの地域家電店でも経験しているはずです。高齢化が進むと子息・子女による生活への介入度が高くなるのは自然の流れです。「やがて世話になるのだから」と親世代も許容するようになります。この現象はエアコンに限らず冷蔵庫の購入の際にもいえることです。
6月の梅雨シーズンにはエアコン、冷蔵庫需要が一服状態になります。7月の梅雨明けと同時に猛暑が到来し、子息・子女に相談する機会が多くなります。子息・子女も親の熱中症が心配で親の生活環境への関心が高まり、高齢の親世帯のエアコンの買替え需要を押上げます。量販店の動きが活発化する前、梅雨時こそエアコン、冷蔵庫の販売活動を強化、実績を積み上げるのが今年の夏商戦の戦い方です。
夏商戦のヤマを、営業活動のヤマを6月に創り出すことが顧客防衛・需要防衛の必須課題なのです。

