2037年まで「60歳以上」人口の増加は続く

戦後一貫して増加してきた日本の総人口は2008年ピークに達し、この年以降は年々減少に転じました。同時に人口の高齢化が進行し、世界でも有数な「超高齢化国家」になりました。

国立社会保障・人口問題研究所による推計によると「60歳以上」人口がピークに達する2037年までの(数年刻みでまとめた)総人口の推移(出生・死亡とも中位の場合=以下同じ)は図Ⅰ-1-1の通りです。この時点での日本の総人口はまだ1億人の大台を維持していますが、2056年には1億人を割るとされています。現在こそ増加している世帯数もやがて減少に転じ、同時に高齢者夫婦の二人世帯、高齢者のみの単身世帯も確実に増加することになります。

図Ⅰ-1-1 総人口の推移

図Ⅰ-1-2は総人口を年齢別に4階級に分けての2015年から2037年までの人口推移を推計したものです。「60歳以上」以外はいずれも減少が続いています。減少数を見ると総人口では減少数が13,560千人と現在人口の1%強に相当する数になっています。内訳は「0~17歳」が4,652千人、「18~34歳」が4,339人、「35~59歳」が9,509千人の減少です。「働き盛り」の「35~59歳」が約10,000千人減少することは特筆すべきことといえます。これらに対して「60歳以上」が4,941千人の増加と推計されています。
総人口と年齢階級別の構成比の変化は商業構造にも変化をもたらせます。既存の商品・サービス市場は縮小する半面、高齢者のニーズに対応した(先取りした)商品・サービスの市場拡大、そしてニーズを吸引できた業態・業種の売上拡大も予想されます。

図Ⅰ-1-2 年齢4階級人口推移推計

一方、年齢階級別の構成比の変化推計は図Ⅰ-1-3および図Ⅰ-1-4の通りです。「60歳以上」は2015年が33.4%と人口3人に1人でした。これでも高い構成比ですが、それが「60歳以上」がピークになる2037年には40%を突破しています。構成比の上昇はそれ以降も続き約45年後の2064年がピークの44.8%、人口の半数近くに達します。

図Ⅰ-1-3 年齢階級別構成比の変化推計 2015年には「60歳以上」が3人に1人

図Ⅰ-1-4 年齢階級別構成比の変化推計 2037年には「60歳以上」が40%を突破

地域店(地域家電店)の中心客層は高齢者です。高齢者の中ではすでに社会問題になっている買い物弱者、買い物難民が発生、そしてその数は増加することになります。

以上の数値はあくまでも現時点での推計で、今後年数を経るに従い変化する可能性があります。また実数値が推計値と異なることも考えられますが、いずれにしても地域店の後継者が自社の将来を考えるうえで参考にすべき環境変化です。

(参考:WHO世界保健機構では65歳以上の人を「高齢者」と定義しています)

 

次回に続く

 

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