「金銭での評価が可能な財産」は貸借対照表に‥

決算書には貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書及びそれらの付属書類があります。中小企業ではキャッシュフロー計算書は省略されるのが一般的です。貸借対照表には一定時点(通常は決算日)での会社の資産と負債・資本の金額が記載されています。会社の「財産目録」ともいえるのが貸借対照表です。貸借対照表は通常、年1回の決算日に作成しますが、事業継承の場合はその時点で改めて作成することをお勧めします。

貸借対照表の内容は「財務」と呼ばれ、創業以来の事業と経営の成果が財産という形でまとめられています。その面では同じ決算書でも1年間(1決算期)の業績をまとめた損益計算書とは性格が異なっています。よく「財務が健全な会社だ」「財務内容に問題がある会社だ」といった声が聞かれます。これは貸借対照表から見ての会社の財務実態への評価です。後継者が継承する企業も良好な財務の会社もあれば、改善が必要な会社ということもあるでしょう。

貸借対照表の構造は図Ⅱ-2の通りです。左側(「借方」と呼ぶ)には会社が保有する資産、右側(「貸方」と呼ぶ)には負債と資本(資本金+剰余金)の内容と金額が記載されています。この資本額こそ継承する会社の価値(値段)です。もし前経営者から会社を「買う」形で継承するならその価格は資本金の額ではなく資本金に剰余金を加算した金額になります。

図Ⅱ-2 金銭での評価が可能な財産

(次回に続く)