2023年5月の重点活動 不安定な気象を考慮して夏商戦の設計を…

お店によりGWの間の営業活動は異なるのでしょうが、いずれにしても上旬は商売が難しい月です。同時に今月はエアコン、冷蔵庫が柱になる夏商戦の前半戦、実売活動が始まります。今年の夏は「地球温暖化」と関連するか否かは別に「暑い夏」が予想(予報)されています。とはいえ4月の下旬には早くも真夏日(最高気温が30℃以上)を記録した観測点(地区)があった半面、翌日には気温が急低下、北日本では降雪といったことも伝えられました。この異常な天候(気温)、早期は品不足に、そして商品供給が円滑化された最盛期には勢いを失い、最終的には売上台数を伸ばすことができなかった昨年のエアコン商戦が想起されます。

家電品の価格改定(値上げ)も五月雨的に実施され、営業活動も新価格の機種への切り替えが進み「台数は若干減っているが、売上金額は伸びている」と地域店店主の表情は明るい(暗くない)のが4月末の商況です。しかし地域店にとって年末商戦以上の売上高、粗利額を稼ぐ夏商戦だけに、仮に最盛期は天候に恵まれなくても計画した業績を上げたいものです。

◆台数面では依然として厳しい状況

別表は3月及び1-3月累計の主要商品の出荷実績の状況(前年比)です。台数から見ると地域店にとっての「四大商品」ではエアコンこそ前年実績を上回っていますが、残る3商品は前年割れと厳しい状況です。テレビに至っては前年比で約15~20%も低下しています。とはいえ全商品が苦戦している訳ではないということに注目が必要です。

ここでは「住設」に区分しましたが、IHクッキングヒーターとエコキュートは「すこぶる」とはいえないまでも「まずまず」の伸長率を確保しています。これら2商品はかつてのオール電化ブーム時に販売したお客様からの買替え需要に支えられての数値です。オール電化ブーム時に営業活動に注力しなかったお店、成果を上げることができなかったお店は買替えという恩恵を受けることはできていません。「その他」に区分された掃除機はやや息切れの感はありますが、台数比と金額比の差は大きく、高単価機種が売れていることを数値面から明確になっています。
出荷は好調なエアコン、そしてやや苦しい冷蔵庫の2商品は、いよいよ本格的な拡売期に突入します。後者の冷蔵庫は401㍑以上の大型が全体の足を引っ張っていますが、これから気温上昇期に入り消費者としては大型のありがたみを感じる時期です。今年3月実施の内閣府「消費動向調査」での平均買替え年数は13.0年でこれまでと比較しても大きな変動はありません。ところが所得階層別にみると所得が高い消費者の買替え年数は1~2年程度短くなっています。

「故障」が理由で買替えた割合が63.0%で調子がいい限り買替えが難しい冷蔵庫ですが、この時期に狙う顧客は所得が高い上得意客といえそうです。今月は買替え適齢期を迎えた冷蔵庫を所有している上得意客をアタックしたいものです。

別表

◆エアコンの買替え提案は「電気代の節約」のみでは‥

冷蔵庫の拡売活動は大切ですが、やはり主力はエアコンです。今年の提案材料は…
・「電気代の節約」と「環境保護への貢献」への接近
・夏の「健康と安全ライフ」の推進
・冬に予想される「電力不足の解消への協力」
・自店の取扱いメーカーの売り物(空気清浄機能、内部洗浄機能、暖房機能、吹出し風の改善等)
…の4点といえそうです。

政府からの要請での再計算の結果、電気代の値上額はやや圧縮されたものの高齢者、特に年金(中心)生活者にとっては深刻な問題です。水道光熱費は手元に何も残らない生活費、電気代の値上げではなく急騰というのが実感のはずです。「電気代の節約」は最大の買替え提案といえます。とはいえ設置されている(使用中の)エアコンはすでに「節電タイプ」が多く、提案前に「エアコンも高くなっており、買替えで元がとれる年数が長くなる」と頭を悩ます地域店店主も少なくないのが実態です。さらなる省エネエアコンへの買替えでは「環境保護」と「電力不足の解消への協力」、さらには各メーカーの新たな付加機能を組合せての総合的な買替え訴求が必要です。

◆「熱中症」発症は「高齢者」が半数を占める

提案材料の2番目、「健康と安全ライフ」も提案の際の話題として使用することができます。特に夏に多発する「熱中症」です。

昨年、夏季の5ヶ月間(5~9月)の熱中症での救急搬送人数は71,029人と前年の47,877人を大幅に上回っています。これはあくまでも「救急搬送人数」で「家族の車で病院へ」あるいは「体育の授業中に発症、先生の車で」といった数は含まれていません。実際にはもっともっと多いという見方もあります。全体の約40%(38.3%)が高気温の7月に発症しています。5ヶ月間の死亡者は80人、このうち7月は36人と搬送人数と同じ傾向を示しています。

注目したいのは年齢層と発症場所です。新生児、乳幼児を合せても568人で構成比は0.8%にすぎません。その上の満7歳以上18歳未満で7,636人(構成比10.8%)、18歳以上65歳未満の成人が24,100人(33.9%)でした。これらに対して65歳以上が38,725人、構成比が54.5%と高齢者の搬送者数は人数、構成比とも高い数値になっています。年により若干の変動はありますが、最近の4年間はいずれの年も半数以上に達しています。

次の発症場所ですが、一般的には屋外での発症が多いと考えられがちですが、住居が39.4%とトップです。

以上をまとめてみると熱中症での救急搬送者は‥
・年間71,000人と多人数に達している
・発症月は気温が高い7月が多い
・高齢者の構成比が高く半数以上を占める
・住居での発症が約40%と「予想外」に高い
‥ということになっています。

「5月の活動の量と質」が夏商戦全体の業績を左右するといわれています。「暑い夏」という長期予報は出ていますが、4月末にはエルニーニョ現象の発生も報道されています。仮に最盛期の天候が不順でも夏商戦全体では「計画は達成した」「前年より伸長した」といえるように5月の活動を設計したいものです。

㈱コミュニティ・アドバンテージ 代表 妻木 潔